「裸眼」naked eyes part 5

「裸眼」naked eyes part 5


69 0926

自分の中ではみだしたものが影になって嘲笑っている

夜に覚醒したものが寝起きの朝方にダラリとしたようなものに見える

イメージが自分に追いつけないとき焦燥感は浪費されていく

削りながら 溶けながら 笑いながら 平静とできない感覚が

穏やかさを破って核だけを覗いて凝視する 圧迫と猜疑心を捨てられずに

順番も感情も付けられずに くたくたになってしまう

時計を思いっきりコンクリートに叩き付けて止める

開けるための窓を探しながら

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例えば、どんな複雑さが物事を厄介にさせているのだろう

不必要なのに渡せないものだったり 背負いきれない重荷だったり

分け合えていない欲望だったり 収まりきらない思案だったり

深く呼吸をすると平然として見えたり もう戻らないものだったり

増えたイメージがはみだして誤作動を起こしているように感じる

それは情報が知性ではなく知識に流れるみたいに

舌の位置が気になって話すことが苦手になっていた頃合いの挨拶

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どの言葉も出来合いもので自分のものではないみたいだ

ただのパズルゲームのようで気持ちが入っていない

裏側が無い人格は面白みも含みも影も持たない

ひたすら表面的な文字列の並びが続いて惨めにさせる

引掻く言葉を描いていたのに 抜け殻のような身体が反応しているくらいに虚しくなる

哀しいのは忘れられること 忘れたことさえ忘れられ思い出されないこと

無意識にも選択されず どこにも浮かばず 哀しいものの姿を映す

72 0926

夕陽でどこまでも伸びてゆく細長い巨人を自分の影だと錯覚して

それを捨てる前に 影の匂いをゆっくりと嗅いだ

どの表現もどの表記も何も感情を現わせていない

無理やりの合成で収まらない気持ちが漂う にせもの

自分を見失う 次に会う自分はどんな人なのだろうか

呼吸がムダに重い 見つけ出せない人格が奥の方に入り込んでいる

73 0926

鉛色の空は薄ピンク色の雲に蹴散らされて 球体ポケットには虹が散らばる場所になる

デタラメの空に散っていく デタラメの空に戻っていく

名前を忘れて 声を忘れて 

風が色々なものを揺らしている/風が色々なものを揺らして遊んでいる

雨と晴れの陽の境界線は雨粒が光って落ちてくる それはまるで星の落下のように

いつも転がるのは気持ち 影が暖まるまでじっと動かない体温を温めに行く

舌は誰の名前を告げず 記号になる

瞬きを止めて朦々 身体を脱げば停止したような時間がゆっくりと流れる

中心だと思う胸骨から真っ直ぐ伸びる線のところにキスをした

色が跳ねかえって視線が揺れる ぎこちない質感を押さえつけに行く

今日の終わりを告げる猫の鳴き声とともに

74 0927

不安定な事柄は離人している時にしか書けない

離人していない時に書くと嘘になる 陰気な雰囲気を拭き取るために記載するもので

誰が読むものでもなく その先に自分にも必要となることもない

その時の気分を押し出すことはバランスを整えることなのだろうか

疑問符の多い生活が増えていく 実感も手応えも無く とりあえず進む

指先を動かして 目を乾かしていく 何歳のいつ頃をピークに身体が老けだしたのだろうか

必要な言葉は必要な時に出てくるから無理に書かなくてもいい

無理に書くと浮足立った気分を並べることになる

75 0927

刺激を受けると手から困惑が離れる 自分の無意識に覗かれ

通過点で記号に成り下がる為に動いている

区切りではなく継続という認識を持たされて

なるべく曖昧に意味がわからないようにされている

適切な情緒を求めると 自分を吐く場所として ほどほどのレイジーが小声を食べる

脱力は適切に新鮮なデタラメばかりを連れてくる

空想は気を静める

在るって事は何かのネジなのだろうか?

人を描くよりもその人の骨を見抜いて描いた方が楽しい気がする

感情を連れて出かける 近づいて触れてみる

体温を暖めてみる 気分を変えてみる 判断しないでおく

76 0927

表に出ないものをほじくる

どうでもいいヤツは風化して結局どうでもよくなる

何も言わないヤツがいちばん卑怯なのだろうか

自分のことに構ってられない人がいちばん卑怯者になる

少し隙間があった方が倒れやすい

言葉は借り物で 言葉はいつでも押し込まれていく

言葉は殻の内側に残ったものが自分のもので総合であると同時に部分でもある

テーマを付けないと混乱が近寄ってくる

小声の食べ残しみたいな文字が流れていく

速すぎて止まっているように感じる

とりあえず沈黙 それが仕方なくなった

77 0927

やたらと塞ぎこみ大気のフタが落ちていく気配

舌をしまい忘れてダラリと垂れたまま臭いもなく乾く

冷静を合併させないと興奮した圧力が誤作動を起こしそうだ

カラフルが自律神経を楽しくさせてファンタジアン

暴力みたいな勢いは

当事者以外には狂気で関わり合いたくない

落ち込みが極度だと喪失感も仲間にしたい気分になる

徐々に低下すると死んでいることに気づかない

責任放棄まではしないから、せめて気を遠くにやることくらいはさせて

ダラリとするような気分だよ

冷蔵庫の構造を知りたい

恥じた内面を乾かして楽しくさせていく

78 0930

地図にない町で迷って 出ようともせず迷子になろうとしている

もう戻りたくない気分が自分の影を亡者に踏ませていた

長く伸びた過去を千切ってゴミ箱に捨てた

背骨に染み入ってくる汗が噴き出る 伸びた爪の 空に掻く背中が痒い

眠りが浅いと眼が乾いている

自分の眼球が充血しているのを感じる 身に触れたくもない

吐く息の色 現実の中に自分自身を見失う

右足前に右足後ろに右足前に 崩れかかっていく脊椎

息をするのが痛くなるまで考えたくない でも耐えられなくて肺までが空気を求めて苦悶する

乾き過ぎた唇が両端から切れていく 

唇は渇き過ぎると少し出血する 湿度を保つため口にビー玉を放り込む

想いは指を伝える 表出した神経は脳裏に色彩を伝える 少しずつズレていくのは時間と背骨と呼吸

79 0930

もしここが

ここら辺の地点が無重力ならば 時間経過の程度で 僕らの愛はしっかり佇んでいるのだろうか

僕らの子供たちが とりあえず月で子供を産むようになる頃には

どのくらい単語の数が増えて意味が変わるのだろう

80 0930

誰かに何かを伝えたいだけ

反応が返ってきてやっと自分の存在を確認できる

それでも継続している現実は浮かんでくる

受け入れてくれる人と時間とともに

温もりは経過する 少しずつ冷めながら

81 0930

公転と自転があるとしても

どうして、月までの距離がいつも不均一なのか不思議で不思議でしょうがない

遠くで観れば星々までの距離はだいたい均一だけど

近くで観れば星々までの距離はだいたい均一はでない

星が近い日と星が遠い日の気分差 ときどき雲の谷間に吸い込まれたくなる

恒星からの反射 時間を掛けて届く灯り

星の呼吸が聞こえるくらい静かな夜でした

温もりを忘れた皮膚の影が暖まるまでじっと動かない

間抜けな星を外し 夜空をひっかく

きみはツンと冷たい鼻をぼくの頬に押しつける

夜風が僕らを近づける 冬が好きな理由

日はいつも夜を連れてくる その次に向かうため

暗闇にゆっくりと溶け込んで 言いたいことが溶け込ませるように

いっそきみの影に入りたい

雪が降ってきて耳が痛い 吐く息が白い

季節も白くなっている82 0930始業式にスタートするカルマ

海に落ちた隕石を拾い上げる仕事をしている人もいるらしい

河と湖で探す人もいるらしい

気が付くとカーブを曲がり損ねた深海魚みたいな顔してる

はっと我にかえると

何もかも理由も意味も特になかったりする 日常活動は分解すると危険

わりと後付けに期待してみる

誰かに気分を左右されてたり

結局、生活なんてもんは大気に左右される

数秒だけ絶好調に幸福感が上昇してみたり 不意打ちなストレスでお腹が一杯になったり

人から眩しがられる涙や 卑下されてしまう塩辛い涙

鼻から糸引くものや胃液に血反吐

虫のように這っていたり 輝き過ぎて乱反射してみたり

それぞれには それぞれのもの

最高位の星もあれば 泥の中にも星がある

それぞれには それぞれのもの

地上には地上のもの 何度でも絶滅して何度でも進化してみよう

根性が尽きるまで 今生の情けをリサイクルしたり

始業式にスタートするカルマ

海が乾かない理由でも考えてた方が少しましな気がする

83 0930

売れ残った

空を

うっとりするような

美味しいガスの入った風船で

彩る

揺らいだ

間を

行き来する

虹の

流れにもよく似た

遊び

84 0930

透明な卵

透明な卵殻を破こうとしているのが外側から見える

もがいている 試行錯誤という日課を浴びている

ポッカリと空いている日課に浮かんでいる

きっかり喰らっている みっちり喰い散らかしている

自家中毒は多重になりがちで 判断できずに戸惑っている

正常という判断を探すと気が狂う 平均値とか基準値は喰い千切ってあらかじめ捨てちまえ

普通とういものはどうすれば近寄ってくるのだろうか

情報という名前の飴玉を小麦粉の中で咥えるようなもの

それが本当は何の粉かは別として

卵にヒビが入ったとき ついでに雷も落ちて華やか

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